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窓から入る心地良い風のおかげで、少し長めのドライブでも車内は快適だった。ただ、隣で運転する男・岩本のせいで極度の緊張状態にあることは否定できない。
他愛のない雑談も一時間もするとネタ切れで、しばらく前に終わった会話の後から沈黙が続いている。
運転する岩本の横顔を盗み見つつ、梓は小さく溜息を漏らした。
やっぱり素敵。
仕事ということを忘れているわけでは決してないのに、ついつい見とれそうになる。
同じ職場とはいえ、今までは担当エリアが離れており、一緒に仕事をする機会はなかった。しかし課の一人が産休に入った9月からエリアが変更になり、この度初めて同行することとなった。
周りの女性達から羨ましがられ、梓も確かにラッキーだなと思った。イケメンと仕事ができるのはそれだけでテンションが上がる。
だけどまさかこんなに緊張するとは……。
岩本は梓より3つ上、今年で8年目の営業マン。一方、商品担当の梓は日頃から営業と同行し商談を支援する役割。だから営業との同行は日常業務であり、車内で二人きりというのも珍しくない。
しかし、岩本となると話は別。
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