車中にて

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背はすらりと高く、どこか品のあるスーツ姿。格好良いというよりも美しいという言葉が似合うその顔はまるで彫刻品のようだと噂される。 営業成績はトップクラス。ユーザーにもベンダーにも社内スタッフにも、社内外問わず評判がいいと聞く。 そもそも岩本ほどの商品知識があれば梓の支援は不要なはずなのに。 とにかく、もの凄いハイスペックな人となぜか二人きり。ここで緊張せず、どこで緊張するのだろう。 「時間かかってごめんね。今までの島田さんのエリアはこんな遠くなかったでしょ?」 信号で止まると、岩本は梓に目を合わせた。沈黙が続いたせいか少し気遣うような口振りで、梓の方も申し訳なくなる。 「あ、いえ……。確かに会社からそれほど離れてないエリアでしたけど」 「今日のとこは往復で3時間超えるから。ここまで来たらあと少しなんだけど」 「そうなんですね。私、実はこっちの方に来るの自体初めてで全然土地勘なくて。あんな制服見たことないし」 前方の歩道に下校中と思われる女子高生が数人歩いている。
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