車中にて

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少し混乱したように呟く梓を見て、岩本は笑う。 「俺も詳しい訳じゃないけど、アニメや漫画の都市伝説もあるくらいだから、地域は関係ないんじゃない?」 「そうなんですか? それだったらなんで都市ってついてんだろ?」 更に考え込む梓とは反対に岩本は楽しそうに言う。 「島田さんって面白いな。黙り込んだと思ったら突然マシンガントークぶっ放すし。着眼点もなんか違うし」 「そんなこと……」 岩本に指摘され、そういえば喋りすぎたと反省し、梓は俯いた。そのしゅんとした様子に岩本はまた笑った。 「あ、もうすぐ着くよ。ここ曲がってすぐ」 その交差点で信号が赤になった。車が止まると、岩本は思い出したように梓を見た。 「爪と言えば。その爪」 「はい」 突然変わった話題に戸惑いつつ、控えめに返事をする。 「小指だけ色が違うんだね」 手に向けられた視線に気づき、梓は膝の上に置いていた両手を目の前に広げた。ちょうど週末にジェルネイルを新しくしたところだった。
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