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最後の、虚舟の一件から早数年。
生死の境を彷徨った千太を、ぬらりひょんが見舞う。
「駄目だな。河童の万能薬を使っても、まるっきり右腕が動かねえ。前えみてえに、殺しは無理だな」
千太の右腕は、あれ以来動かないらしい。
「左様か。一緒に、女の尻でも触りに行こうと思っておったのに」
「嬶が怖くてな。そんな事したら、無事な左腕まで使い物にならなくなっちまう」
少なくとも千太は、女の尻を触る気は無い様だ。
「そう言うなて。良いぞう、女の尻は」
しつこく誘うのを断るも、ぬらりひょんは執拗。
「へえ……? じゃあ、あたしの尻でも撫でてみるかい?」
背後に祢祢子が居るのも気付かずに、ぬらりひょんは熱弁していたらしい。
しかし、祢祢子に見付かった以上。
しらばっくれる事は無理な様子。
「い、いや……。これは、だな……」
ぬらりひょんが弁明しようとするも、怒り心頭な祢祢子に話は通じない。
それだけ、ぬらりひょんの女癖の悪さは妖怪の中でも有名だと言う事か。
人間も妖怪も、ブチ切れると笑顔になると言うのは変わらない様だ。
「思う存分、撫でさしてあげるよ……!!」
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