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人目に付かないところへと入っていく。
そこには、複数の少年。
二本差しばかりだから、少なくとも侍の子息では在るのだろう。
「ちゃんと、盗って来ただろうな?」
余り近付くと、江名は存在がバレ。
厄介な事になりかねない。
その為、会話や映像は近くの枝に止まっていたトンビからの転送で盗み聞き。
「も、勿論です……」
囲まれてる少年が袂から出したのは、反物。
柄は店の中では確認出来なかったが、盗品の反物は雪の結晶を象ったものの様。
「ふん……。これ一本だけか? あと十本は盗んで来いよ」
一番偉そうに踏ん反り返っている者の腰巾着らしい少年が、鞘ぐるみに抜いた刀で小突く。
「え……? でも……」
「口答えすんのか? あ?」
更に別の少年が、脛を蹴り始めた。
集団だからこそ、強気に出られるのか。
「そ……、そんな……」
例え、断っても。
断らずとも、こう言う手合いは自らより下を見付けて強要する。
こればかりは、どうしようも無い。
長屋などに住む町人のガキ大将ならば、こんな道理の通らない事はしない。
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