76人が本棚に入れています
本棚に追加
逆に言えば、道理さえ通れば人殺しだろうが盗みだろうが平気で遣る。
それが侠客と言われるヤクザ者だったり、義賊と呼ばれる盗人だったり。
「その辺にしな。見ろよ、こんなに怯えて。なあ、小町?」
名前の聞き違いか、それとも現代で言うキラキラネームか。
意外と、こうしたキラキラネームは江戸時代から存在する。
儒学者の本居宣長が、自らの手記にキラキラネームが多いと愚痴を記すくらいに。
「女みてえな名前えしやがって。本当にキンタマ付いてんのか?」
こうも集団で詰め寄られては、気の弱い者には恐怖そのもの。
「臭え!? こいつ漏らしやがった!?」
小町と呼ばれた少年の足元に、広がる黒ずんだ沁み。
カラカラに乾いた地面に沁みる沁みは、明らかにアンモニア臭が漂う。
「漏~~らした。漏~~した」
囃し立てる声は、明らかに楽しんで責め立てていた。
そこまで追い詰められ、小町と呼ばれた少年は泣く。
「泣いてやんの。母上の御乳が恋ちいんでちゅかあ?」
髷を掴み、無理矢理顔を上げて。
顔を寄せる。
代わる代わる覗き込むのは、遊びの延長と言う事か。
最初のコメントを投稿しよう!