サムシングを隠せ!

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 関係者以外立ち入り禁止のドアをおそるおそる開ける。  ドアのむこうは階段の踊り場になっていて、その奥には荷物運搬用のエレベーターがキュルキュルと音をたてていた。  周囲に人の気配がないことを確認して近藤に合図をおくる。それと同時に、あんこの詰まったように肥大した顔の若者がサムシングと一緒にすべりこんだ。 「あとは階段をおりるだけだな。」  アンパン男は顔をこすりながら「暴行っス」とか「パワハラっス」とか「訴えてやる」とか呟いている。  私はため息をついた。 「わかった、わかった。あとで新しい顔……じゃない、メシでもおごってやる。」 「焼肉がいいっス。」 「じゃあ、焼肉な。」 「約束っスよ。」  指切りを迫るアンパンを無視して階段をおりる。階段自体は狭くはないが、サムシングを担ぐと閉塞感があった。  下からあがってくるのか、荷物用のエレベーターがキュルキュルとうるさい。  後ろからは「肉汁~肉汁~」という鼻歌がきこえてきて、もっとうるさい。 「もう少し静かにしたらどうだ。」  アンパン野郎の鼻歌がとまる。エレベーターは相変わらずキュルキュル。 「別にいいじゃないっスか。客がいるわけでもないっスし。」 「従業員にみられてもまずいだろ。」  キュルキュル、キュル。 「え、そうなんスか。じゃあピンチっスよ。」
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