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「近藤。」
私は薄くなった頭皮をかかえた。
「なんスか?」
手には私が望んでいたものとは別のものが握られていた。
「布団は?」
「今日はわざわざ買う人もいないだろうって在庫もなしっス。」
「ビニールシートは?」
「全部屋上で使用されてるっス。」
「じゃあ、バスタオルは?」
「さっきの通り雨で、客が濡れたからプレゼントしたみたいっスね。」
私はうなだれた。やっぱり自分で行けばよかった。
「なんか、なんでもいいからこれ以外にもあったろ?」
「いや、ないからこれ持ってきたんスよ。結構恥ずかしかったんスからね。」
彼は満面の笑みでビニールに入った商品を私の手にのせた。
XXLサイズの女性用ストッキング。いったいこんなものでどうやって隠せというのか。
「さ、部長。とりあえず着けてみましょう。サーモンピンクよりはいくらかマシなはずっス。」
本当にこんなものでどうにかなると思っているのか。どう考えても隠しきれないであろうそれを一応着けてみた。
着けて、みたのだ。この変態の口車にのって。
「うわあ……。」
いくらかマシと言っていた彼も、なにか恐ろしいものでも見ているように口に手をあてた。
言葉もない。こげ茶色のストッキングがまさかこんなことになるとは。これではまるで……。
「なんかコンドームみたいっスね。」
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