第2章 夢の足音

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そんなギリギリの精神状態で生きているば、いつかは崩壊する………俺は、すでに壊れかけているのかもしれない。 啓二の中ですでにお金など、価値はなかった。 だが、ひどく自分が惨めだった。 長いゲイ生活の中で得た教訓は、体は金で買えるが、愛は金では買えない。というものだった。金でボーイを買ったのは初めてだったが、若い子と付き合うのには、それと同じくらい金がかかったからだ。 金、金、金…………か。なぜ金に執着のない俺がゲイなんかに生まれた?金がないゲイは、相手を見つける事さえ難しいというのに……… はは、笑わせるぜ。罰が当たったんだな。親父がいつも言ってた。親を悲しませると、天罰が下る…………てね。 今更になって、自分がどれだけ親不孝なのかわかってきたよ。俺は、最低の人間だって事が。 啓二は、惨めなのに、笑いが込みあげ、ひとり静かに笑った。
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