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「生活のすべては保障されるということか? それに対して俺が提供するものは何だ? ギブアンドテイクがない世界なんて、信用できない。それ相応の対価が要求されるはずだ」
少年は、がっかりしたように、ため息をついた。
「君は、ずいぶんと疑り深い人間だね。用心深いのはいいけれど、それで大きなチャンスを逃してしまったことはないかい?」
俺の一瞬の動揺を見逃さなかった。
「あるみたいだね。さて、ここでもう一度だけ聞くよ。君は、僕と一緒に来るのかな?来ないのかな?」
男は、答えを返さない。
「僕、あんまり説明するのとかって苦手なんだよね。説得する気もないし。来なきゃ来ないで、別の人を探すだけ。
定員は、あと一人なんだ。せっかくだから、見込みのありそうな君に声をかけたんだけど。僕の見立て違いだったらしい」
やれやれというように、首を振り、男に背を向ける。
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