第1章

7/9
前へ
/9ページ
次へ
「いや、全部向こうにあるから。君が今からするのは・・・そうだね、この窓から飛び降りる勇気はあるかい?」 「窓・・・? 正気かよ。ここは5階だぞ? 死ぬだろう?」 「ここから飛び降りても死なない。飛べる。そう、自分を信じられるかどうか。それが、世界への入り口」 男の決意は、急激にしぼんでいく。 「やっぱり、君には無理だったみたいだね。サヨナラ」 少年は、ひょいっと、窓から外に身を乗り出した。 ぐいっと、その腕が引かれる。 「危ないなぁ!」 少年が睨みつけても、男はひるまない。 「俺にも、本当にできるのか?」 まだ、半信半疑の男は、少年に問う。 「もちろんだとも。君なら絶対大丈夫」 「本当だな?」 「そんなに念を押して確認するってことは、自分を信じ切れてないってこと。やっぱり、止めた方がいいよ」 「いや、やる! 俺は行くぞ!」 そして、窓枠に手をかけ、一気に窓の外に躍り出た。   
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加