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――――文月の頭。
水無月に南の共和国で行われた音楽祭。
そこで知り合った友人たちを東の皇国で文月頭にある七夕に併せて宿禰の別邸へ招待した。
友人たちがまた友人たちを呼び、その友人たちがまたさらに友人たちを呼び、結果として半端ない人数になったのだ。
――――何か、偉いことになった。
銀瑤は遠い目をして内心そっと息を衝く。
季節も小暑とはいえ夏に入ったので銀瑤は友人たちに一つ提案をした。
この近くに、かつて貴族の邸だった廃邸があるので肝試しでもしないか、と。
元来、ノリがいい面々が揃ったのだろう。
皆、大盛り上がりで賛成していた。
景品もあると言ったときは一部眼の色が代わっていたが、気にしないことにした。
気にしたら敗けだ。
恐らくは。
何に敗けるのかは知らないが。
なにぶん、人数が多いので不公平にならないようアミダくじにしたのが、結果を見た銀瑤はうっかり神を呪いたくなった。
―――パノア神、俺に何か恨みでも?
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