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同じグループになったのは銀瑤を含めて六人。
その内半数は音楽祭で面識があった。
見知らぬのはライアロウの二人。
否、正しくは一人か。
二人の内の一人蒼詠マリア。
彼女の名には、聞き覚えがあった。
目映い金の艶やかな髪に、瑠璃の双眸。
宿禰の当主たる父の仕事相手として何度か彼女の二つ名を耳にした覚えがある。
名は確か――――。
「銀瑤くん 残念だねぇ 彼氏の時雨くんと離れちゃってぇ」
思考に被さるように降ってきた微妙に間延びした声に頭痛を覚えた銀瑤は頭を抱えたくなった。
「……シェアト殿」
ひょっこりと姿を現したのはシェアト リンクス。
大陸鉄道員で車掌でもある彼女は平素とは異なる衣装に身を包んでいる。
白地に赤紫と青紫の朝顔の柄の浴衣に光沢ある黒と蘇芳色で標色の織で遠目には斜め縞に見えた。
帯からは根付けが見えその先には何やら黒塗りの物が見え隠れしている。
普段は無造作に揺れているふわふわの白髪は左右に分けて短い編み込みおさげにしており、常とは違う印象を抱かせた。
というか何が彼氏だ。
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