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「………この白猫」
ひくりと頬を引き攣らせて、思わず声に出して唸る。
どうしても男とくっつけたがるシェアトに銀瑤はぶちまけたい百万語をどうにか押し留め、苦虫を噛み潰したような顔をした。
そんな銀瑤の心情なぞどこ吹く風でシェアトは話続ける。
受けだの攻めだの銀瑤には理解不能な単語を並べ立ているシェアトに本気で頭痛を感じ始めた。
そろそろ力付くで口を綴じに懸かろうかと物騒な思考が銀瑤の頭を掠めていると、ふいにけたけたとした笑声が響く。
「残念だねー 銀瑤くん 「彼氏」の時雨くんと離れちゃって」
笑声とともに揶揄うような声と銀瑤にとっては聞き捨てならない台詞が耳に届いた。
「……紅鸞殿」
にやにやと口端を吊り上げているのは李 紅鸞。
ひとを揶揄うのを生涯の慶びのように感じている紅鸞は銀瑤の現在の状況も心底愉しんでいるのが手に取るように解って、銀瑤は額に青筋を浮かべた。
誰が彼氏だ、誰が。
だったらお前も彼女でも作ってこいと吐き捨てたくなった銀瑤は理性を総動員して押し留める。
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