12人が本棚に入れています
本棚に追加
ドアを開けた先には、閻魔大王の間があった。どうやら丁度グルっと一回りして来たようだ。
「おお狸吉、戻ったか。さあ、こちらへ参れ。」閻魔大王の野太い声が耳に響く。
俺はボロボロの体を引き摺って、何とか閻魔大王の目の前まで辿り着いた。
「器を見せい。」
俺は懐から三種類の色が混ざり合い、ドブ色に変色したグラスを取り出した。
「おお!見事。試練を全て突破したか。」
俺は賛辞を受け、微かに笑ってみせた。
「貴様の道は決まった。奈落の底より深き地獄で死後を送るが良い。」
な…なんだって!?
「この試練は地獄へ行く資格があるかどうかを見定めるもの。貴様は見事に全て突破しおったわ。」
「ふざけるな!!俺を騙したのか!」
狼狽えている俺に、三つの足音が近付いてきた。
「ご冗談を。そのグラスはあなたの心の色を表します。」
「十分に濁っております。」
「あなたの様な醜き存在を天国へ行かせると思いましたか?ご自重なさい。」
そんな……コイツらは…。
「狸吉よ。未来永劫地獄で反省するが良い。さらばだ!」
その瞬間、俺の足元にポッカリ穴があき、俺は漆黒の闇の中へと落ちて行った。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
完
最初のコメントを投稿しよう!