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どのくらい歩いたろうか?俺は閻魔大王に指し示された道をひたすら歩いていた。
終わり無き道、いつまでも変わらない景色。辺りは暗く5m先も微かにしか見えない。果てしなく続く道程に嫌気が差してきたところで、数m先だろうか?道の真ん中辺りに一つの灯りが見えてきた。
ようやくゴールか?この試練は根気を試すものだろうか?ならば楽勝だ。天国行きは間違いないだろう。
灯りの目の前に辿り着くと、ようやくその正体を確認する事が出来た。
10歳ぐらいのフードを被った少年が、松明を持って俺を待ち構えていたようだ。
「お待ちしておりました。」少年はフードを上げると、俺に顔を見せてきた。
「これで終わりか?さっさと次の試練に案内しな。」俺は小僧と分かると強気に言葉を発した。
「ご冗談を。これからでございます。ここは迷宮地獄。入り組んだ迷路を無事抜ける事が出来れば、その先に水がございます。さあ参りましょう。」そう言うと小僧は俺を先に行かせる様に手で促した。
俺は小僧にぶつかる様に道を進むと、早くも分かれ道にぶつかった。ただの分かれ道ではない。俺の目の前には四つに分かれた道。
俺はチラリと後ろを振り返り、小僧に向かって言葉を発した。
「どれを進めばいい?お前道を知っているんだろう?」
「狸吉様、ご冗談を。これはあなたの試練ですよ。」
俺は舌打ちをしながら、一番右の道を進んだ。
しかし、行けども行けども終わりはなく、やがて行き止まりにぶつかった。
俺は壁を蹴飛ばすと、今来た道をひたすら引き返した。
次は一番左。50m程進んだ所で、俺の右足が急に地面を空踏みし、そのまま体を地中へ持っていかれた。
「うわぁぁぁぁ!」落とし穴だ!俺は寸前のところで地面に左手を掛けた。
しかし、奈落に引き摺り込まれそうな体を支えるのが精一杯で、よじ登れそうにもない。
「おい!こ…小僧!助けろ!」
「ご冗談を。」
「くっ!こ…この…野郎!」ありったけの力を使い右手を地面に掛けると、その勢いのまま体を引き上げた。
「はぁはぁはぁ…。」しばらく地面に寝転び、消耗した体力を回復させる事に努めた。
「さあ、参りましょう。こちらでもないようです。」
「小僧…。」俺は仰向けのまま小僧を睨み付けた。
休息を終えると、その場から立ち上がり、再び元の分岐点へ戻って来た。
二択だ…これで外したら…また。俺の脳裏に先程の恐怖が焼き付いていた。
ようし…こっちだ!
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