第1章

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家に着いて着替えた。 そしてそのまま、部屋へ行った。 少年は携帯で電話をかけた。1人目は、1度失恋した相手に、2人目は、ネットで知りあった友人に。 どちらも、電話には応答しなかった。 忙しいのだろう。 少年は、そのまま脱衣所へ行き風呂に入った。 ふと窓を見た。最近ここには『ジン』がいた。 きっとこの事を伝えたかったのだろう。 何故気付けなかったのか…… 頭を洗い、顔を洗い、体を洗い。 風呂から上がり、服を着た。 脱衣所を出るとそこには、ペット用のお部屋に横たわる『ジン』の姿を見た。 その時少年は、初めて声を荒らげ泣いた。 その姿は、とても情けなかっただろう。 そして「ありがとう……ごめんね……お疲れさま」とだけ言って部屋に逃げ込んだ。 すると携帯には着信が入っており、折り返し電話した。 相手は、失恋した子だった。 その子には「ちょっとした物語なんだけど、聞いてくれたりする?」 と言って、この物語を話した。 ここまでがその物語である。 その夜 ふと父に少年は問われた 「『ジン』はお前に何を残した」 そう質問された。 少年は答えることはできずに その場を後にした。 玄関で『ジン』を見ながら考えた。 俺に残してくれた物。 すぐに分かった。 生き物を飼うと言うことの責任感と運命。 どんなに短くても一緒に居れた記憶。 その2つを俺に残してくれたんじゃないかと思った。 その事を失恋相手に報告した。 そして今少年は自分の部屋にいる。 母のはからいで部屋に連れてきてもらい今夜だけだけど一緒に眠るのだ。 当の本人は、物語をスマートフォンに綴っている。 そして今少年は1つの役目を終えたのだろう。 小さく勇敢に闘った1匹の子猫の勇姿を綴り終わったのだから
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