悲劇のR.U.R.

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*第三幕  ロボットと人類の戦争が始まった。量と質も共にロボットが圧倒的だったが、ラードゥ・ロフェッサ社が潰れ、またケノス開発の秘伝書がガルによって奪われた今、ケノスは自らを量産させる事が難しくもなっていた。秘伝書を奪い、人類最後の楽園ラスヴォンへと逃げたガルはアルクイストと再会する。  新しい兵器の開発・反攻を企てるアルクイストに対し、ガルは秘伝書を交渉材料にケノスに取り入ろうと提案する。が、アルクイストは反対。ガルはひとりでケノスとの交渉に赴こうとしたとき、遂にケノスの軍隊がラスヴォンに押し寄せる。奪われそうになる秘伝書を守る為、アルクイストは秘伝書を燃やすも、楽園は失われ、人類は僅かな数を残し、散り散りとなってしまった。  逃げた先でアルクイストはエレナと出会う。エレナはアルクイストの招待を知ると、ケノス側に取り込もうと、性的な交渉に出てくる。結果、押し倒される形で一夜を共にしてしまった二人の下に、プリムスが訪れる。最後の人間となっていたアルクイストは自らの命を守る為だけに人型破壊兵器を駆り、プリムスと戦った。  死闘の末、アルクイストは敗北する。命を助ける代わりに、プリムスはケノスを増やす為に何が必要なのかと、幾つもの質問をぶつける。そこでアルクイストは最後の抵抗とばかりに、エレナを解体・分解すれば秘伝書の秘密を知れると嘯いた。だが、プリムスは否と答えると、アルクイストを殺害した。 *最終幕  プリムスはアルクイストの脳を持ち帰ると解析した。秘伝書にまつわるデータを辿ると、ラスヴォンの地下にアルクイストの研究施設がある事を知り、向かう。そこには秘伝書を使い製造された、凡そ人間とは似ても似つかない新人類が培養されていた。生命の真理に近付こうとするプリムスは、新人類を解剖した。  だが、そこには何もなかった。ただプリムスの胸中には残酷な事をしたという虚しさが去来する。と辺りに地震が起きる。それは隠されていた孵化機から新人類が解き放たれる音だった。地上を埋め尽くす新人類の姿はまさに怪獣だった。  生命の真理を結局知る事は出来なかったものの、人類が滅んだ異理由、人類が人類たる所以の心などは理解出来たような気がしたプリムスは、同胞を守るために再び戦いの狼煙を上げた。
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