37人が本棚に入れています
本棚に追加
「不倫してるの?」
全く。
うんざりだ。
せっかく見付けた男が、人妻と不倫しているだなんて。
しかも、私の存在を彼女に話した?
泣いた?って。
当たり前じゃない。
何で話すのよ。
面倒な事に巻き込まれるのは嫌だ。
―――――
初めて行った居酒屋のカウンター。
女友達と焼酎のロックを片手に、かなり出来上がっていた。
込みあうカウンター席にぽっかり空いた二つの席に、静かに現れた男女。
あ!
男の方は見覚えがある。
私の働くビルに入っているカフェの店員だ。
毎日顔を合わせてはいるが、客と店員の会話以外はしていない。
若い男だと思っていたが、連れの彼女が…。
かなり年上。
小柄な体にショートのボブ。
服装はいたって普通の、どんなジャンルにも属さないような格好。
一言で言えば、地味。
彼は割とおしゃれなのに。なんだか不釣り合いだ。
恋人同士ではないのか?
よくわからない。
そこまで観察して止めた。
興味はない。
最初のコメントを投稿しよう!