第1章

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そのカフェには、ほぼ毎日顔を出す。 あの居酒屋で会ってからも顔を合わせていたが、 特にその話題に触れる事もなく日々は過ぎる。 ある日、彼の方から話しかけてきた。 「焼酎のロック、好きなんですね?(笑)」 「……! あ、やっぱばれてた?」 「分かってましたよ」 距離が一気に縮んだような錯覚を覚えた。 「今度、一緒にどお?」 自分でも驚いた。 私は何故か彼を誘っていた。 「いいですよ」 「いつにする?」 「早い方がいいですよね(笑)」 あ、なかなかわかってる、この人。 そう、これは社交辞令のお誘いではない。 行くなら、さっさと日時を決めた方がいい。 それで決まらなければ、縁がなかったって事でスルーできる。 「次の月曜は?」 「いいですよ」 決まった。
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