第1章

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今日は、バーゲンの品だしがある。 250万円の品だしとなると、少し大変。 でも、1日かければなんとかなるだろう。 店に着くと、すでにリーダーが来ていた。 (げ!来なくていいのに) 内心穏やかではないが、満面の笑顔でリーダーに挨拶をした。 しかし、まあ、予想通りと言えば予想通りなのだが、 リーダーの機嫌は悪い。 いつものことだ。 無視しよう。 私は何も悪い事はしていない。 無言で品だしを始める。 周りの人が、心配してコッソリ声を掛けてくれるのが嬉しい。 「頑張ってね」 「うん。ありがとう」 みな、リーダーの事が苦手である。 それはそうである。 時々来ては、不機嫌台風を吹かせ周りを巻き込んでいく。 そのうち、彼女が来ると皆遠巻きにするようになった。 それがまた彼女の気を立てる。 こうなると悪循環であった。 今日もこの台風に翻弄されるのかと思うと気が滅入っる。 お昼休み、宗さんに会える事を楽しみにしよう。 そうだ。 宗さんがいる。 暗い気持ちに少しだけ灯りが灯った。 恋ってやっぱりいい。
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