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吹き出る汗を手拭いで拭いながら、持参した水筒の蓋を開けた。
ふと、スーツ姿で汗だくになって歩く、中年の男性に目が止まった。両手には沢山の手提げ袋。
その姿から、営業の仕事なのだろうと思いながら、照子は麦茶に口を付けた。
何気ない、いつもの光景。
けれど、中々その中年の男性から目を離す事が出来なかった。
あの子が生きていたら、どんな仕事に就いたのだろうか…。どんな家庭を持ったのだろうか…。
込み上げてくる思いに目頭が熱を帯びて来たのを感じて、照子は急いで腰を上げた。
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