永遠の夏

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細い路地を、まだ幼かった子供達と手を繋ぎ、笑いながら登った懐かしい記憶を思い出しながら、照子は噛み締めるように、ゆっくりと登って行く。 貧しく、苦労が多かったが、不幸ではなかった。 いや。寧ろ、当時は裕福な家庭の方が少なかっただろう。 その日、食べる米に困るなんて日常茶飯事…そんな時代だった。 それでも、不幸と感じなかったのは、紛れもなく『子供達の笑顔』が、そこにあったからだ。 坂を登り終えると、照子は大きく息を吐き、もうあまり伸びなくなった腰をグッと伸ばした。  
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