敗者

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「はは。相変わらずの最弱っぷりに惚れ惚れするよ」 「それは褒めてるの? 貶してるの?」 「貶してるに決まってるじゃないか。君に褒めるべき長所は、その女児にも見える顔とこじんまりとした体のみだ」 「それ長所じゃないです」 むしろ個人的には短所だ。 「肌もきめ細やかだし色白。君は相手さえ選ばなければ選り取り見取りだな。特定の層に大ウケだ」 「そんな人と付き合いたくありません」 「ショタコンロリコンフェミニスト。そしてギリギリだがホモやゲイにもモテると思うよ。そう考えれば、君はかなりリア充なんじゃないかな?」 「そんなリア充になるくらいなら、僕は真っ先に死を選びます」 「そうなるとさっきの言葉は訂正しよう。君は大ウケではなく総受けだ」 「男限定!?」 ダメだこの人腐ってやがる。クソッタレめ。 「ほら、さっさと教室に行きなさい。今日はどのくらいでここに舞い戻って来るかな?」 「出来れば戻りたくないですね」 「それは残念」 一ヶ月でこの人のいろんな面を見てきたが……うん、出来れば一生をかけて近づきたくない人種だ。 保健室から出ると、その直ぐ右手にある階段をゆっくりと上っていった。 「オーッス、フリュー」 「ふえぇ!?」 び、ビックリした……いきなり後ろから話し掛けないでもらいたい。気絶するから。 「おっと、悪りぃ悪りぃ」 「もぅ……おはよ、カリュ」 「おう」 燃え盛るように真っ赤な髪の毛。そして人懐っこい笑顔と、誰とでも仲良くなれるカリスマ性。 カリュシュ・フレムライド。炎を司る七大貴族の現当主だ。 「ニャー」 「あ、ラル!」 「ニャー♪」 カリュの愛猫で、炎を司る神の化身。炎猫神ラル・クライド。唯一僕に噛みつかない動物だから大好き。 「ラルかわいーなー。カリュの所より僕のところに来ない?」 「むりむり。そいつ俺と契約してるし」 「ニャッ!」 「おぉ! 来てくれるの?」 「えっ、まさかの裏切り!?」 猫かわいー。猫というかラルかわいー。
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