第1話 目覚めたらそこは異世界だった。

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第1話 目覚めたらそこは異世界だった。

「ふぁ~、もう朝か。」 ダルイ感じで起きたのは、鞠市 貴咲(きくいち きさき)。 貴咲はいつものようにスマホで時間を確認するために手を伸ばす。 しかし、空を切るばかり。 寝起きの悪い貴咲は目をつぶったまま腕をブンブン振り回す。 スマホは愚か、スマホが置いてある小さめのテーブルさえ腕がぶつからない。 「どこにスマホあるんだ?」 ようやく目を開けた貴咲は驚いた。 そこには空気がおいしそうな森が広がっていた。 「・・・・・・・・。」 当然のごとく貴咲は固まっていた。 その反応は日本人としては当然の反応だった。 貴咲は少し特殊は環境で育ってはいるが、反応に関しては普通だった。 「昨日は休日だからってスマホの目覚ましをセットせずに寝たはずなんだけど。」 そう、貴咲は昨日ちゃんとベットで寝ていた。 なのに起きたら森の中。 こんな現象が起こっていいのかと貴咲は疑問に思う。 拉致でも森に捨てるぐらいならそもそもやる必要がない。 貴咲が邪魔なら殺してから捨ててもいいはずだ。 殺すとばれて捕まるからなんて考えもしないだろう。 拉致した時点で捕まるのは確定。 だからそんなことする馬鹿などいないと貴咲は拉致や殺害の可能性を除外する。 「んー・・・。」 それ以外に思い当たる節はないので貴咲は唸っていた。 少し考えた結果貴咲は1つの答えに辿り着いた。 「考えても無駄だから、必要最低限のことをしよう。」 気持ちを切り替えた貴咲はまた違うことを考え始める。 「とりあえず、衣食住を揃えるのは基本だな。あとは・・・」 独り言を呟く貴咲。 日本だったら冷ややかな目線が飛んできそうだが、ここは森の中。 視線なんて気にしなくてよかった。 これほど楽な場所はないなと貴咲は苦笑する。 「よし!あとは娯楽だな!そうと決まればとりあえず歩く!そしたらなんかあるでしょ。」 貴咲は視線を気にする割には野太い神経の持ち主だった。
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