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貴咲は少し特別な思考を持っていた。
いつもはめんどうなどと言ってやるべき事以外何もやらなかった。
しかし、貴咲が楽しいと思うことはたとえ自分が不利になろうとも怪我しようともやってしまう人だった。
そのため、いつもはしないことも平気でしてしまう時があるのだ。
たとえば、今のように。
「ねぇ、そのデカイのと抱き合って幸せ?」
「誰がグリズリーと抱き合うか!!!」
貴咲は起きた場所から歩き始めて10分程度で第一村人を発見した。
出会った女性はタワーシールドを構えて命がけでグリズリーと抱き合っていたのだ。
実際はのしかかりをされそうになって、必死にタワーシールドで守っているだけだった。
グリズリーは力でどうにかできると思っているのか、一歩も引かず押し合いになっていた。
この状況を見た貴咲はなんと思ったのか第一声を聞けばわかるだろう。
「愛の形は様々だよね。邪魔しちゃって悪いね。」
「なわけないでしょ!!助けなさいよ!!」
女性は声を張り上げた。
少しでも気を抜くとグリズリーに押しつぶされてしまう。
逃げるにもタワーシールドから手を離した途端にグチャッといくだろう。
なのでグリズリーが引くか諦めるまで耐えないといけなかった。
グリズリーは現代でいうと熊みたいな見た目で大きさは2Mを超え、色は真っ黒。
日本語で名前を付けるとしたら黒熊だろうなと貴咲はどうでもいい考えをしていた。
「ねぇ・・・もうたすけ・・・てよ・・・。」
いらないことを考えていた結果女性は力尽きようとしていた。
「やべぇ」
このままだと、死因はグリズリーによる圧死になるが、原因の1つが自分になってしまう。
それは後味が悪すぎると貴咲は思い、急いで助けに向かった。
助けに行く様は異質そのものだった。
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