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この後、普通に自己紹介をしてから喋りながら街に向かった。
場所が分からない貴咲はただ付いて行くだけだが。
「キサキはなんでこの森にいたの。」
「たまたまだよ。気にしなくていい。」
「たまたまでこんな森の深くにいるわけないじゃない!真面目に答えなさい!じゃあグリズリーはどうやって倒したのよ!」
「たまたま首をポキっとね。」
「たまたまでそんなことできるか!」
森の中にいたことは起きたらたまたまそこだったといえる。
グリズリーはたまたま能力を持っていて倒せた。
ほら、どっちもたまたまじゃないかと貴咲はどこかわからないところに向かってドヤ顔を決める。
ちなみに言っとくと、グリズリーの死体はマキナが持ってた摩訶不思議袋に入れられた。
普通の大きさの袋ににゅるっと入っていったのを見て、某四次元ポケットを思い出した。
「まぁ、たまたまだから仕方ないって・・・・・ん?」
マキナの怒りを流しつつ歩いていると前方の草が揺れる音がした。
「ガルルルルル」
現れたのは日本では全滅してしまった狼だった。
狼は貴咲たちを見るといきなり襲い掛かってきた。
獣特有の身体能力を使って、貴咲に噛み付こうとする。
「よっと」
貴咲はそれを余裕で避け、背骨の場所を殴り、へし折った。
これも能力のおかげである。
体の全てがわかるので、筋肉の動きでどうやって動くかは簡単に予想ができてしまうのだ。
だからすばやい攻撃も余裕を持って避けられ、背骨の折れやすいところを殴りつけられたのだった。
あまりにも手際がいいし、素手で魔物を圧倒した貴咲をみてマキナは呆気に取られた。
そんなマキナに向かって貴咲はゆっくりこう言った。
「たまたまだよ。」
マキナの「なわけないでしょ!!」という声が森に響いた。
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