魂掃流~コンソール~

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────────── 遂に次世代機も登場! ~家庭用スピリチュアルケアマシン~ 『魂掃流(コンソール)~』ZX 誰でも、気軽に、簡単に! “魂”を洗う新時代! ────────── 「魂を洗う、ねぇ……こうして見るとただの“霊感商品”にしか思えないけどねぇ」  シゲオはそう呟くと、55型4Kテレビのリモコンを操作しテレビの画面を消した。妻のミサキはソファに腰掛けるシゲオの横にやってきた。 「あら、そんな事無いわよ。今や1億総うつ病時代なのは分かるでしょう? あなただって先月まで1ヶ月も休職していたじゃない?」  バツが悪いセリフを訊き、シゲオはその太い眉を歪めた。仕事一筋で生きてきた自分にとって、初めての経験だった。ある朝起きると吐き気が止まらなく、病院に駆け込んだ。  診断結果は『うつ病』だった。それから妻のミサキの紹介で、メンタルケアクリニックへ通ったのだ。 「確かに休んだけども……こんな機械より、病院の先生の方が確実じゃないか?」 「うふふ、物は試しってよく言うじゃない?」  ミサキはシゲオが首をかしげたのを見てから、『リョウちゃん』と呼んだ。隣の部屋から5歳になる息子のリョウが、小さなダンボールを抱えて持ってきた。 「それは……」 「魂掃流(コンソール)よ。今日、あなた用に“わざわざ”買ってきたのよ」  シゲオの表情には、『こんなに高い物を』という不満がありありと見えた。ミサキは先んじて、笑顔で説明し始めた。 「たった3万円よ。あなたがカウンセリングで使うお金よりずっと安いわよ」 「はぁ……分かったよ。リョウ、開けてくれるかい?」  『うんっ!』と元気よく答えた息子は、ダンボールに張り付いているガムテープを丁寧に、時折乱暴にはがし始めた。二人は息子の成長だと思い、黙って様子を伺っていた。
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