ストーリー解答編

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1部  菊池が読んでいた物語の世界=文芸部女子の小説の作中作。作者日下元、主人公ポッキー。  ここでは菊池がまだポッキーの世界に入っていません。そのため、「――」で導かれる形で菊池のツッコミが挿入されます。一重の鍵括弧で1部全体が囲まれているため(3部からの視点)、セリフが全て二重鍵括弧になっています(菊池から見れば一重鍵にあたる部分。また「――」の部分は見えていません)。  最後のセリフの終わりに二重鍵閉じがないのはそこで菊池が読むのをやめた(本の世界に飲み込まれた)からであり、改行して一重鍵で閉じられているのはそこが1部の終わりだからです。誤植ではありません。  菊池は文字情報としてこの世界を捉えているので誤植に気付きますし、「C世」を「ひゃくせい」と「聞き取る」ことが出来なかった訳です。一方、そのように「聞いた」柏崎は「C世」や「木奉の手紙」をきちんと理解しています。  何故ポッキーは柏崎の全てを知っているのか。それは背後霊と話をしたからだと言うものの、その存在が結局無視されていますし、菊池のツッコミ通りジョンもヨハネスもイヴァンも言語が違うだけで同じファーストネームなので明らかな偽名=嘘だと分かります。  2部で語る通りポッキーは本のマスターであり作者の分身でもあるので、物語の世界のことは全て知っているし好きに動かせるのです。AV女優が何か分かっていてとぼけているのも同じ理由です。  では柏崎怜也とは何者かと言えば、日下の物語における登場人物で、幽霊です。ポッキーは彼に「自分が死んだことを自覚させる」ことで成仏させています。「社会的に死ぬ……面白いことを言いますね」の発言の意図は既に肉体的に死んでいるからです。  作中で語られた6月19日の午後7時は、夏至の直前なので星空は見えません。固有名詞から日本が舞台であることも分かります。  その時間で記憶が止まっているし、周りの変化に今まで気付かなかった→彼は霊としてそこに留まっていた、という理屈です。  ポッキーが直接「あなた死んでますよ」と言わなかったのは物語的な理由ですが、もしそんなことを言っても柏崎はポッキーをやばい人と思って拒絶するだけだろうと判断したのもあります。  また、この世界は読者が読んだ回数分繰り返すので、毎回違うことをやっているという設定もあります(3部の文芸部女子の発言)。
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