ストーリー解答編

4/7
前へ
/22ページ
次へ
2部  文芸部女子の小説、主人公菊池珠江=我々にとっての作中作。ただし舞台としては1部と地続き。  ここの冒頭から菊池は物語に入り込みます。「――」のモノローグが地の文に切り替わっていきます。  双眼鏡は、本のスピリチュアルなゲートを通して物語を見るというイメージが、物語の中から双眼鏡で覗き見をするという形で具現化したからです。それを通して「見る」ことは「読む」ことなので、土手の向こう側にいる2人の会話が聞こえるのです。  さて柏崎が死んでいるということに気付いた方なら、菊池も死者だと思うかも知れませんが違います。それを示す要素はいくつかありました。  まず、ポッキーが明かした菊池の情報。  柏崎は「当てずっぽうで言ってるんじゃないな」と情報の細かさに慌てたのに対し菊池は「ほぼ当てずっぽうじゃない」と冷めた態度です。名前と年齢以外は嘘だからです(本当の情報は作品概要に)。  これは作品の外側の存在である菊池のことはポッキーにはほぼ分からないから。柏崎と同じ状況ではないことが分かります。  さらに「背後霊に聞いた」とも言っていませんし、やはり柏崎の場合とは根本から異なります。  最後に「成仏するの?」発言にポッキーは首を振っています。これも死んでいないからです。 「ここってもしかして」の後に「本の中なの?」と言おうとした菊池の心をポッキーが見抜いたかのように見えたのは、彼女のように迷い込む人を何度も見てきたからに過ぎず、頭の中が見える訳ではありません。  迷い込んだ人を元の世界に戻す条件ですが、ここには正確な解答は用意していません。はっきりしているのは、「菊池は自分が死んだと思うことで元の世界に戻った」ということと、作者によるとそれが「思い込まされた」ことだということです。  これしか情報がないので「死んだと思い込むこと」や「一定時間の経過」、「ポッキーと話すこと」などでも正解になり得ます。  銀天からの解答は、「自ら物語を読み解く」こと。1部の終わりまででは情報しか出ていなかったこと、そこから2部で結論を出した意味、ポッキーがそれを直接言わず菊池に考えさせた理由をまとめ、かつこの場面でなくても出来ることとなるとこのようになります。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加