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3部
菊池の物語を書いた文芸部の世界=我々から見た小説の世界。
ここで重要なのは部長の、誤植が作中作であることを示しているというものです。
どこに誤植があったかはすでに示した通りですが、誤植がなかったものが物語中に2つ存在しました。
それは、菊池の発言と、文芸部女子の語り(この設定で組んでいたのですが1箇所だけミスがありました、申し訳ない)。
つまり、この2人だけは作品の外側(我々と同じ次元)の存在であることを暗に示していたのでした。菊池の一人称視点による地の文には誤植がありますが、それは物語の中に飲み込まれているからで、声に出した言葉はミスなく文字になっています。
「誤植=作中作を暗示」と指摘した部長本人が誤植を連発することによって、この文芸部の世界も、ポッキーの世界と同様一冊の本の世界であることを示していたのです。
つまり菊池がポッキーの物語に入ったように、文芸部女子もこのEsprit liseurという作品の中に迷い込んでいる。そして脱出の手口が分からず、この世界にある高校に入って作品を書いた。
これが物語の真相でした。
ここまで書けば、3部の外側に「我々の世界」を置いた意味が分かると思います、
1部のところでも解説しましたが、鍵括弧を閉じずに終えているのはそこで物語を読むことが無理矢理に中断されたことを示しています。
概要本編問わずやっていましたが、入れ子構造を示す表現でもありました。
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