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「ねえお巡りさん、ここってもしかして」
「まさか危ないクスリやってないだろうね。苦い子に多いんだよ、そういうの」
「やってませんって」
それからアタシは、警官に腕を引かれて無理やり歩かさせられ、2人で交番へと向かった。
アタシは確か、図書館で本を借りて、天気が良かったからこの辺りで本を読もうと道を外れた――そこまでは覚えてる。読んでいるうちに寝ちゃって、誰かにいたずらされて本と双眼鏡が入れ替わったとか、そういうのかも知れない。
巡査はアタシの右手首を掴んだまま色々説教してくるが、適当に相槌を打って全部スルーしていた。好きでこうなった訳じゃないんだし。
公園に隣接する交番に入ると、そこには見覚えのある女の子がいてお茶を飲んでいた。
「待っていましたよ、菊池珠江さん17歳、松原ヶ内高校2年B組、Bと見せかけたAカップ、仇名はタマちゃん、アザラシのものまねが得意なんですね」
「どうしてそれを!? ……って、ほぼ当てずっぽうじゃない。ねえお巡りさん、アタシよりまずこの子――」
隣にいたはずの男性警官は、いつの間にか消えていた。
「あれ、お巡りさーん?」
「そこにいた男性なら、用済みなので本来いるべき33ページ後に飛ばしました。さっき言おうとした『もしかして』の続きどうり、ここはあなたが読んでいた本の中ですよ」
「アタシの心の中まで見えるなんて、一体何者なの?」
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