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「お父さん、南の貧しい国でお医者さんをしてたんだよ。
そのせいでお病気になっちゃって死んじゃったけど、
凄く格好良かったんだよ。」
「お父さんね、
腕無くなった時に泣いてるお母さんに
『迷惑はかけるかも知れないけど、これからは毎日新婚の時みたいにあーんして貰えるから僕は嬉しいよ』って言ってくれたのよ!!」
「ゆうちゃん、
お母さんゆうちゃんはお父さんみたいな人になって欲しいなあ。」
川の字で心地いい不思議な感覚に浸っていると、
横から嬉しそうなお母さんのそんな話がずっと聞こえていた。
でも何故か僕の心はもやもやしていて
本当に、不思議な感覚だった。
気持ちよくて、どれくらいそうしていただろうか。
「お母さん寒い。」
ついに僕は我慢の限界になった。
最初は少しだけお母さんが暖かかったが、ついにお母さんも冷たくなってきた。
「ええー、もう少し寝ようよ。」
ちょっと暖かくなって、お母さんが拗ねる。
「んじゃまた後で寝るから、少しお外で遊んできていい?」
もう少しお母さんといたかったが、
それより僕は
とにかく寒かったので暖かい所に行きたかった。
「もう、これからは毎日こんな感じだからちゃんとお母さんと鍛えようね?」
「はーい。」
僕はお母さんの話をさらっと返して、外に走っていった。
「蒸しあじいいいい!?」
本当に気温の差があったらしく、
外は気持ち悪いくらい蒸し暑かった。
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