結婚式。そして………

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「ねぇ、智志、千咲さんと何かあった?」 自宅に戻るなり、母さんがそう聞いてきた。 眉を下げて心配そうに。 「何かって?」 結婚の話しをしたくらいだけど………。 母さんは首を傾げる俺を見て、目を伏せた。 「千咲さんがね…………智志とは結婚できないって言って来たって」 「は?」 今、 母さん、 なんて言った………? 「もう少ししたら、みっちゃんもうちに来るわ」 一体、 何が、 どうなってる? 「………智志、落ち着いて。ほら、そこ座って」 呆然と立ちすくむ俺を、母さんがソファに座るように促した。 今頃2次会会場にいるであろう千咲を思う。 そして、ハッとした。 「………もしかして………俺が副社長って、バレたのかも」 新婦側は俺の事知っている人はいなかったけど、新郎側には何人か俺の正体を知っている人がいた。 「え?  あぁ、それならこの前千咲さんと一緒に智志のところに泊まった時に、ちゃんと話したわ。  みっちゃんと話しをして、智志がグローバルワールドの副社長だってこと秘密にしてたって」 「千咲、知ってたんだ………」 そんな素振り、全然見せなかったな。 俺に気を遣ってたのか………? 「そう言えば、あの時、千咲さん智志の事ゲイだって思ってたのよね……」 「はぁ!?なんで俺がゲイになるんですか!?」 「そこもちゃんとその時に否定しておいたから!大丈夫よ!  ちょっと、智志、落ち着いてよ………」 ちょっと待て。 いつから千咲は俺の事をゲイだと思っていたんだ? 親友のシズカがオカマだからか!? だから俺も同類だと思ってたのか!? でも、ゲイだと思って、俺に抱かれたのか………? ………あぁ、千咲の考えていることが分からない。 頭を抱えて項垂れていると、千咲の母親がやってきた。
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