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The Birth
デイビットから通信が来たのは宇宙標準時間の午後5時26分。私が過去、地球で書かれたと言う娯楽用のテキストを読んでいたときのことだった。
デスクには、グラスに注いであった味気ないカクテルがほとんど変わらない量でそこにある。
氷はすでに溶けてしまっている。
いや、どうやら数日ほど放置してしまっていたらしい。私の部屋のサーチシステムが、グラスからレベル1の危険信号を知らせていた。
「やぁ、ミシェル。また古風な暇つぶしの最中かい? 良く飽きないな?」
「飽きないさ。地味に見えるかもしれないが一度試してみると良い。病み付きになるよ」
「遠慮しておくよ。俺には合わないみたいだからな」
実に残念なことだった。
彼は私達の先祖が書いたかもしれない代物に興味が無いらしい。
地球で使われていた古代文字研究がきっかけで知った世界だが、今ではデータバンクに残る膨大なデータの中からそれらを集め、読むことが日課となっている。
たかだか百年程しか生きられなかった時代の人間が書いたものは本当に面白い。
彼らの価値観や生活を知り、私は憧れにも似たものを持ってしまった。
彼らや、もちろん、遠く離れた地球にも。
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