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……デイビットはいつも優しい。
行為の後、私は彼の肌の匂いの中で、デイビットが私の髪を撫でるのを感じていた。
「ミシェル、素敵だったよ」
「うん。あなたも」
こんなことをして、一体何になるのだと思う時もある。
遺伝子的に改良を施されている私達に子供が出来ることは無い。
この行為に何の意味があるのだろうか。
私達は宇宙移民の末、太陽系の外へ進出した人間達の子孫である。
子孫、と言っても、人口管理のために生殖機能は制限され、多くは培養ポットで生まれたクローンであるが。
今では各宙域の小惑星などに建造したコロニーに住む者と、人類が生存可能な惑星を探す船団に別れている。
地球がどうなっているのかは、まるでわからないが、まだ人間は住んでいるのだろうか。
とりあえず、私とデイビットは船団に参加せず、このコロニーに残った。
他にも数十人の仲間がいるはずだが、通信機器があるにも関わらず、干渉は全く無い。
施設拡大や資源採集、我々の生命維持に関する様々な問題はロボットが処理しくれている。
それにしても、工場で量産されるロボットと、培養槽で生まれる私達に違いはあるのだろうか。
父も母も、神も、何も知らずに無機質的に我々は生きている。
唯一、デイビットとこうしている間だけ、私はそれを忘れることが出来た。
ただの娯楽だと言い聞かせるが、それでも、胸が温かい。
時々、涙が知らないうちに流れることもある。
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