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そして、彼が作り出したもう一つの発明に、その擬似世界に存在するデーターを読み取り、こちら側で再生すると言う機械がある。
必要な情報は形状と構成物質、質量。
用意された元素のプールから、それらを生成するための物質が抽出され、こちら側に再現される。
今までこちら側に呼び出した、擬似世界のチキンやビーフ、それから野菜。
一応、サーチシステムを参照したが危険は無い。
ロボットが作る味気ない宇宙食とは比べものにならない程に美味しい。
今、私達はその世界で作られた葡萄酒を、彼らの世界で作られた装飾グラスに注ぎ、二人でそれを飲んでいる。
一口飲んだアルコールで、少しだけ気分が良い。
あまり大量に飲まないように気をつけなければ。
「ミシェル。俺は君だけには生きていてもらいたいと、そう思ったよ」
デイビットがそんなことを話し始めたのは、そんな時だった。
まさか、この後、私達が永遠に離れ離れになるとは、この時は思っても見なかった。
だが、その時間がやってきてしまった。
「君に黙っていたことがある。それもとても大事な話が」
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