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デイビットはそう言うと、操作パネルで、擬似世界のウィンドウを開いた。
『ディビット。もう、準備は出来たのか? こちらはいつでも大丈夫だが』
「ああ、もう、限界だろう。始めよう」
デイビットがスピーカーから流れた音声と会話を始めた。
誰と話しているのかわからない。
他の仲間のメンバーだろうか。会話の内容もわからない。
『君がミシェルだね。こちらからも見えているよ』
一体、どういうことなのか。
「誰なの?」
それにデイビットが答える。
「神様だよ。俺達の」
言っている意味がわからない。
デイビットが言葉を続ける。
「数年前、俺が擬似世界を観測していると何物かに突然話しかけられた。スピーカーを通して。こちらからなら中の誰かに、コンタクトを取ろうと思えば可能だ。なのに、そいつは向こうから話しかけてきた。そいつは数千年と言う長い年月をかけて、外の世界から観測してる俺に気づいたらしい」
デイビットは操作パネルを恍惚とした表情で撫でた。
「俺が作った世界の守護者をそいつは名乗ったよ。世界を再現していて、俺はかつて人間が存在を認識していなかった、偉大な存在まで再現してしまったらしい。多分、神様と呼ばれていたものだ」
「……じゃあ、今話しているのが?」
「違う。いや、もちろん、彼も聞いてはいるが、今話をしているのは『俺達の世界の守護者』だ」
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