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「クニオ君、この前君が送ってくれたもの・・・それを見つけたところへ行ってみたいの。」
私は、クニオの顔を見上げながら言いました。
「ハイ センセイ アシタ フネ デマス。
アシタ シマ イキマショウ。」
クニオはそう答えると、続けて言いました。
「カホ センセイ オネガイシタ モノ モテキテ クレタ デスカ?」
少年の様な目つきでクニオは私に聞きました。
私はゆっくりと頷きました。
その日の夜、かつての島の教え子たちが集まり、私の為に歓迎会を開いてくれました。
お料理は懐かしい味・・・。
タロイモや豚肉の料理に唐黍と新鮮な魚介類・・・。
集まった10数名のかつての教え子たちは、私を取り巻くように座り、まだ流暢な日本語で私に話しかけてくれました。
「センセイ マエノトシ ワタシタチ ジブンノ クニ モテマシタ。」
パラオは昨年・・・1981年に共和国として自治権益を獲得し、実質的には国連の委任統治領から独立を果たした形になりました。
今に、完全な独立を果たす事でしょう。
教え子たちの笑顔に私は彼らの幼いころの姿を脳裏に重ね、感慨深いものを感じました。
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