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パラオでは、何か部族間で大きな問題が発生した時は、部族全員が集まって答えを出します。
誰か一人でも反対すれば、何度でも話し合い全員が賛成した上で行動に移します。
その時もそうでした・・・。
現地の方々は、軍の飛行場建設に協力し、その中で日本人と深い絆を持ったようです。
水戸から来た歩兵第二連隊の兵隊さんは、現地の子供たちに対して故郷に残して来た我が子の姿を重ねたのでしょうか・・・毎日のように、入れ替わり立ち代わり学校にやって来て、子供たちに日本の歌や遊びを教えたり、また現地の人々との交流を深めていました。
私も、合唱や体育の授業・・・読み聞かせなどでも、子供好きな兵隊さん達に大分助けて頂いていました。
現地の方々の答えは、『日本軍に協力して戦う』というものでした。
日本の兵隊さんと仲良くなり友情を感じていた現地の方々は、代表者を地区隊司令部に送って隊長さんに『一緒に戦わせてほしい。』と、進言致しました。
いつもは笑顔で現地の方々と触れ合い、信頼を得ていた隊長さんなら、この気持ちを受け入れてくれるはず・・・そう思った、代表者に対して隊長さんは机を蹴っ飛ばし、鍾馗様の様に顔を紅潮させて怒鳴りました。
「我々栄光ある帝国軍人が、お前等土民どもと一緒に戦えるか!帰れ!」
代表者達は泣きながら帰り、みんなに結果を告げました。
あんなに親しく付き合っていたのに、所詮は見せかけだけの友情だったんだ・・・現地の方々は、悔しくて悔しくて・・・泣き明かしたそうです・・・。
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