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「センセイ ミンナ ヨロコビマス サクラ カナラズ サクデス。」
私は、クニオの言葉に頷くと、沈みつつある夕日を眺めながらクニオに言いました。
「クニオ君・・・有難う。
先生は嬉しいです。」
私の言葉にクニオは、いっしょに来たかつての子供達の顔を見て言いました。
「センソウ イケナイ。
ワタシタチ ニホン ウランダコトモアル。
デモ ワタシタチノ コト オモイ ワタシタチ タスケタ ニホンノヘイタイサン タチ ワスレナイ。
ソシテ センセイノコト ワスレナイ。
ワタシタチ オタガイ タスケアイ オモイヤリ モツ ソレ ミンナ シアワセニ ナル。
センセイヤ ニホンノヘイタイサン オシエテクレタ ダカラ カンシャ。」
私はクニオの言葉に頷くと言いました。
「貴方達は、私が教えたこと以上の事を学びました・・・。
そして貴方達の思いが、世界中に広がって行きます様に・・・。
もう、私が教えることは無いのですね・・・。」
クニオ達は私の言葉に涙を流し・・・私に抱擁してきました・・・。
その抱擁の優しさ、暖かさは、彼らが学んだ事、彼らが経験した事・・・。
私は、彼らの抱擁を受けながら思いました・・・。
この小さな島で戦い、散って逝った数多の人々の犠牲は無駄ではなかったこと、そして、その尊い精神が今なお・・・息づいていることを・・・。
島の夕日は・・・全てを許すがの如く優しく・・・そして暖かく・・・私には感じられました・・・。
ー完ー
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