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次の日、幸子は学校から帰ると、ロボット猫をもって近所のサービスセンターへ出かけた。ただのバッテリー切れかと思ってゆうべ充電したのだが、動かなかった。やはりどこかが壊れているのだろう。
機械なら「修理する」というが、ペットロボットの場合「治療する」となる。メーカーも専門の窓口を設け、家電とはちがう対応をしていた。「壊れている」のではなく、「病気にかかっている」あるいは「怪我をしている」なのである。
サービスセンターの係員が出した依頼書にも「治療依頼書」と書かれていた。
住所や名前、電話番号を記入する欄の下のほうに「ペットの名前」を書く場所があった。
幸子はまだ名前をつけていなかった。以前はどんな名前で呼ばれていたのだろう……?
しばらく考えたあと、「富士丸」と書いた。以前近所で飼われていた猫(本物)の名前だった。
「治療にどれぐらい日にちと費用がかかるのか、あしたには連絡します」
と、獣医を思わせるような白衣を着た受け付けの係員はニコリと笑って言った。
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