( ・∀・)彼女は存在しないようです

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大小さまざまな絵を背に、モララーは立っていた。 絵を描く時は当然向かい合って筆を動かすので、このような事は慣れていない。絵画に描かれた人物からの視線が、背中に突き刺さるようだ。 妙に緊張して表情をこわばらせていると、何度かシャッターを切る音が聞こえた。 ミ,,゚Д゚彡「はい、オッケーです。ありがとうございました」 カメラを構えた髭の男がそう言うと、モララーはそこでようやく自然な笑みを浮かべた。それは慣れない撮影が終わったことによる安堵の表情だった。 モララーは画家だ。 小規模な個展がさる評論家に賞賛されたのをきっかけに、彼の絵は広く評価されるようになった。しかし段々とその評価は形を変えていき、最近では二十三歳というその若さや整った顔立ちへの注目を煽られるようになっていた。 その事に関してモララーはモヤモヤとした不満を感じている。だが、それがきっかけで自分の作品が見てもらえるならと我慢をしているのだ。 そして今日の雑誌のインタビューも、「我慢」したものの一つだった。 ( ´∀`)「しかし、本当にこの絵は素晴らしいですね」 パーマ頭の男に話しかけられ、モララーもつられるように視線をそちらに向ける。 そしてカメラを向けられていた時には一度も見せなかった、柔らかな笑顔を浮かべた。 モララーはこのところ、とある女性の絵をよく描いていた。 栗色のロングヘアーが特徴的な、美しい顔立ちをした女性。 最近はこの女性を描くことだけに没頭していると言ってもよいだろう。
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