( ・∀・)彼女は存在しないようです

6/12
前へ
/33ページ
次へ
(´・ω・`)「そりゃあ、幻覚だよ」 明くる日、モララーが友人に話すと返ってきたのはそんな言葉だった。 それは、居酒屋の喧騒に掻き消されることなくはっきりとモララーの耳に届いた。 彼はタバコをふかしながら、ニィと口の端をつりあげる。 (´・ω・`)「居もしない女のことばかり考えているから、ついに幻覚まで見ちまったってわけだ。ああ、恐い恐い」 ( ・∀・)「……まるで、俺が異常者みたいな口ぶりだな」 モララーが腹をたてる気配はない。この悪友の無礼極まりない言動には慣れていた。 彼に対していちいち怒る方が労力を使うのだと、モララーは知っている。 (´・ω・`)「異常者かはともかく、偏執的だとは思うね。たまには違うものをモチーフにすればいいのに」 ( ・∀・)「僕は彼女を描きたいんだ」 (´・ω・`)「なぜ?」 その問いかけに、モララーは言葉を詰まらせた。 自分がこんなにも彼女を愛する理由。それを、モララーは自分でも分かっていない。 ( ・∀・)「……なぜだろうな」 だから、友人の言葉をはぐらかすしかなかった。 ( ・∀・)「そんな事より、もっと呑もうじゃないか。今日は酔いたい気分だ」 (´・ω・`)「お前、酒に弱いくせによく言うよ」 投げかけられる野次をBGMに、モララーはコップに残っていた酎ハイを一気に飲み干した。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加