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(´・ω・`)「そりゃあ、幻覚だよ」
明くる日、モララーが友人に話すと返ってきたのはそんな言葉だった。
それは、居酒屋の喧騒に掻き消されることなくはっきりとモララーの耳に届いた。
彼はタバコをふかしながら、ニィと口の端をつりあげる。
(´・ω・`)「居もしない女のことばかり考えているから、ついに幻覚まで見ちまったってわけだ。ああ、恐い恐い」
( ・∀・)「……まるで、俺が異常者みたいな口ぶりだな」
モララーが腹をたてる気配はない。この悪友の無礼極まりない言動には慣れていた。
彼に対していちいち怒る方が労力を使うのだと、モララーは知っている。
(´・ω・`)「異常者かはともかく、偏執的だとは思うね。たまには違うものをモチーフにすればいいのに」
( ・∀・)「僕は彼女を描きたいんだ」
(´・ω・`)「なぜ?」
その問いかけに、モララーは言葉を詰まらせた。
自分がこんなにも彼女を愛する理由。それを、モララーは自分でも分かっていない。
( ・∀・)「……なぜだろうな」
だから、友人の言葉をはぐらかすしかなかった。
( ・∀・)「そんな事より、もっと呑もうじゃないか。今日は酔いたい気分だ」
(´・ω・`)「お前、酒に弱いくせによく言うよ」
投げかけられる野次をBGMに、モララーはコップに残っていた酎ハイを一気に飲み干した。
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