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あの時。
あの女性は、このブレスレットを見立てたのが゙私"だと気付いていた。
「貴女の望み通り」
死ぬ間際、確かにそう言った。
私はストーンを拾い集めるまで気付かなかった。
あまりにもやつれ果てた姿で、すぐにわからなかった。
けれど闇の石を見て確信した。
そして事故の話をした時の彼の慌てぶり。
間違いなく彼女は浩太郎の元カノ。
私が彼女から、彼を奪った。
それなのに諦めが悪くてずっと浩太郎にまとわりついて。
浩太郎は、元カノと別れるまで二股をかけていることを私に黙っていた。
元カノがしつこくて困るだの、スピリチュアルにハマり中でもパワーストーンが大好きで夢見がちな女だと、迷惑そうな顔で話してくれた。
あくまでも元カノとして。
彼女の事を、私が知らないと思っていたのだ。
でも彼の部屋に泊まりに行った時に、私は本棚の奥に隠された写真立てを見てしまった。
日付は、ほんの3日前。
仲睦まじく身を寄せ合いながら笑顔を見せる、2人。
私の中で何かが音を立て、壊れた。
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