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『元カノがあまりにもしつこくて、君に危害が加わると嫌だから』と、浩太郎は私との付き合いを元カノに隠していた。
バラされると困ると思ったんだろう。
私は彼から聞き出した元カノがよく行くという店に、友達が働いていた偶然を利用してバイトを始めた。
切れてバラバラになった、このブレスレットを彼女に売るために。
世間には知られていない憎悪の闇の石を混ぜたブレスレットを、彼女は喜んで買って行った。
「肌身離さず。身に付けて下さいね。
貴女は必ず幸せになれますから」
笑顔で囁いた私の言葉を信じて。
「ふふ」
貴女が私を浩太郎の新しい彼女だと知ったのは、いつかしら。
電車に飛び込む数日前かしら。
「ふふふ」
止まらない笑い声。
嫌みったらしく目の前で自殺したりして。
恐ろしい女。
浩太郎の知らない所で、私たちは勝敗を決めた。
勘が鋭いわりに、こういうところは意外と抜けてる。
そんな彼も、私は心から愛していた。
「本当に恐ろしいのは。
貴方がさっき抱いだ私"かもね」
何も知らずスヤスヤ眠る浩太郎の寝顔を見下ろしながら、私は呟いた。
end
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