ブレスレット

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 『あ、いや、ごめん』  「どうかした…?」  『いや、何でもないよ。形見とか言うから、少し驚いちゃってさ』  いつもの浩太郎の口調に戻った  「だって。拾い集めて顔を上げたら、その女性が……」  『悪い。もうその話は、やめないか?』  唐突に浩太郎が私の話を遮る。  「え…?」  『これから飯食うしさ。麻百合も早く忘れなよ』  「………」  『防ぎようのない事故だったんだ。な?』  「……うん。わかった……」  浩太郎が話を切り上げたい素振りを見せて  私は戸惑いながらもパワーストーンを丁寧にティッシュで包み、またバッグにしまった。  『それ。捨てたら?』  「え?」  浩太郎がバッグに視線を送る。  『さっきの石。なんか気味悪いじゃん』  「う……ん」  浩太郎の様子が、おかしい。  『さっさと捨てた方がいいよ。人が身に付けてたアクセサリーなんてさ。しかも、目の前で……』  さすがにその先は言いづらかったのか、浩太郎が黙りこんだ。  「わかった。とりあえずここに捨てていくのも気が引けるから、家に帰ったら捨てるね」  そう言った私の言葉に、まだ納得出来ない顔を浮かべていたが、  『そうだな』  それ以上、意見する事もなく調子を合わせるように、彼が答えた。  その晩。  私たちは、その駅から30分くらい車で走った所にある、ラブホテルに泊まった。
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