目が覚めたら。

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「…ここは…教室?」 懐かしく感じる教室は昔、3年間過ごした母校の教室だった。 状況を整理するべく廊下に足を運ぶ。 『3?4』。間違いない。自分が所属していたクラスだ。 それにしても、何故このような所に居るのか。 俺はもう高校なんてとっくに卒業しているし、そもそも母校に来た覚えも無いし制服なんて着ていない。 再び教室に戻り、適当に椅子に座り己の服装を改めて観察した。 少しくたびれた学ランを身にまとっていた。 ああ。学ランどこに置いたっけ。 今度、実家に電話してみよう。 なんて呑気な事を考えていたら足音が聞こえ、教室の戸が開いた。 「玲!また寝てたの?もう放課後だよー。」 教室に入ってくるや否やそういう少女。 …どこかで見覚えがある気がする。 「え…と。誰?君」 確認の為、名前を訊ねた。 少し不躾な質問だっただろうか。 少女は呆然とした様子で数秒動きを止めていたがすぐに笑いながら答えてくれた。 「ちょ、玲寝ぼけてるの?w 私だよ。太陽。思い出した?」 『太陽』と名乗った少女は少し照れくさそうに笑った。 『太陽』。やっぱり俺の知っている『太陽ちゃん』と同一人物のようだ。 「…ああ。ごめん思い出したよ。太陽ちゃん」 相手を安心させる為だけに作った笑顔を貼り付ける。 「…れ~い」 むにゅ。と太陽ちゃんに頬を引っ張られた。 「ふぇ?」 突然の事で間抜けな声が出た。 「作り笑いしないで。私玲に作り笑いされると悲しいの。」 そういい、手を離して微笑む太陽ちゃん。 こういう笑顔も変わらない。俺の大好きな太陽ちゃんだった。 …ん?待て。色々可笑しいぞ。 今、冷静になって考えて見ると何故俺は学ランを着て母校で学生時代の太陽ちゃんに会っている? 頭の中で『もしかして:タイムスリップ』などというふざけた言葉が浮かんだ。 普段の俺なら笑い飛ばすだろうが、状況が状況だ。 …『タイムスリップ』という現実を受け入れるしか無い。 「玲?」 不安そうに俺の名を呼ぶ太陽ちゃん。 「ごめんね。少し考え事してた。じゃあ、帰ろっか?」 にこっと微笑み、手を差し出すと太陽ちゃんは嬉しそうに微笑み返してから俺の手をとった。
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