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のり子は立ち止まったけれど、振り向かなかった。
「きっと、友達も来ているよ」
のり子は駆け出した。
夏祭り。
……昨年、ケイコとナオコといっしょに行った。
ナオコのお母さんに浴衣の着付けをしてもらって、髪も結ってもらって。
「……行けないよ」
のり子は陸奥屋の入口から少し離れたところに立ち、屋上を見上げた。
「藤森さん?」
ハッとして、のり子は振り向いた。
そこには、同級生の男の子が立っていた。
学校で顔は見たことがある。
名前、なんだっけ。
のり子が何も言えないでいると、男の子はにっこり笑った。
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