非常階段を駆け上がって

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「藤森さんもお祭りに来たんだ。上までいっしょに行こうか」    えっ。  のり子はすぐに頷けなかった。 「いいからいいから」  何がっ。  男の子は先に入口に向かっていく。  なかなか動き出さないのり子をじれったそうに見て、「早く」と言った。  男子とふたりでお祭り?  こ、こんなとこ他の誰かに見られたら、変なウワサ流されちゃう。  だいたい、まだ、名前も思い出せないのに。 「パパー、早くー」 「もう屋台やってるみたいよ」 「アイスクリーム食べたーい!」 「ハイハイ、手ぇちゃんと持っててよー。迷子になるぞ」
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